疾患について
片頭痛は一次性頭痛の代表的な疾患で、繰り返し起こる中等度から重度の頭痛発作を特徴とします。頭痛は拍動性であることが多く、身体活動によって悪化し、悪心や嘔吐、光や音に対する過敏を伴います。発作は数時間から最長72時間持続することがあり、学業や仕事など日常生活に大きな支障を来します。患者さんの一部では、閃輝暗点などの視覚異常を中心とした神経症状が頭痛に先行して出現し、これを前兆と呼びます。片頭痛の病態には三叉神経血管系が関与しており、三叉神経が刺激されることでカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が放出され、血管拡張や炎症反応を介して痛みの伝達が増強されます。実際に、片頭痛発作中には血中CGRP濃度の上昇が確認されています。
トピックス
急性期治療では、発作時の痛みを速やかに軽減することを目的として、非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンが用いられ、症状が強い場合にはトリプタン製剤が使用されます。発作頻度が高い場合には、β遮断薬、抗てんかん薬、カルシウム拮抗薬、抗うつ薬などによる予防療法が行われてきました。近年、日本でもCGRPまたはCGRP受容体を標的としたモノクローナル抗体製剤や内服薬が導入され、予防治療として使用されています。これらの薬剤は臨床試験において片頭痛日数を有意に減少させることが示されており、血管収縮作用を持たない点も特徴です。患者背景に応じた治療選択が可能となり、片頭痛治療の個別化が進んでいます。
