αシヌクレイノパチーとは
αシヌクレイノパチーとは、「αシヌクレイン」というたんぱく質が脳や神経の中で異常にたまり、神経細胞やその周囲の細胞の働きをそこなう病気の総称です。代表的な病気として、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症などがあります。これらの病気では、同じαシヌクレインが関わっていても、どの細胞に、どのような形でたまるかが少しずつ異なります。たとえば、パーキンソン病やレビー小体型認知症では主に神経細胞の中にたまり、多系統萎縮症では神経を支える細胞の一つであるオリゴデンドロサイトにも強い異常がみられます。
もともとαシヌクレインは、健康な人の脳にも広く存在するたんぱく質です。ところが、何らかのきっかけでこのαシヌクレイン同士がくっついて小さなかたまりを作り、さらに大きな凝集体へと変化していくことが、病気を引き起こす一因と考えられています。
私たちの研究について
研究では、培養した細胞に異常なαシヌクレインを作らせたり、外から加えたりして、病気に似た変化を再現する「細胞モデル」が広く使われています。当研究室でもこのαシヌクレイン凝集細胞モデルを作成し、このモデルを用いて、当研究室でもこのモデルを作成し、αシヌクレインの凝集を促進させる因子や抑制する因子の特定に取り組んでいます。

上の図は、私たちの研究室で実際にαシヌクレインの凝集を引き起こさせた細胞です。
・青色: 細胞の核
・赤色: 異常に凝集したαシヌクレイン
・緑色: βシート構造をもつ凝集体 (チオフラビンS染色)
細胞の中に点状に凝集したαシヌクレインが確認され(赤)、チオフラビンS染色という染色方法を用いると、これらが実際の病気の患者様の脳で見られるものと同じ構造(βシート構造)を持っていることが確認できます。つまり、この細胞モデルを使うことで、詳しく病気のメカニズムを調べたり、新しい薬の効果を試したりすることが可能になるのです。
まとめ
これまで神経変性疾患の根本的な治療は難しいとされてきました。しかし近年、アルツハイマー病に対する新しい治療薬が登場するなど、この分野は大きな転換期を迎えています。αシヌクレイノパチーにおいても、iPS細胞を用いた再生医療や、異常なタンパク質を標的とした創薬研究等、日々治療は進歩しています。
私たちはこの研究を通じて、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症と向き合う患者様やご家族に、一日も早く確かな希望を届けられるよう、日夜研究に励んでいます。
