<Efficacy and safety of perampanel in refractory and super-refractory status epilepticus:cohort study of 81 patients and literature review>

難治性+超難治性てんかん重積におけるペランパネルの有効性, 安全性についての検討

 

Introduction

てんかん重積(SE:status epilepticus)は重度の障害をきたうる神経救急疾患であり死亡率は20%にもおよび,早期の止痙が必要である.First lineとしてジアセパムなどのベンゾジアゼピン系薬が投与されSecond lineとしてAEDが投与される.20~25%の症例では全身麻酔による治療が必要になり難治性てんかん重積(RSE:refractory SE)と呼ばれ,持続鎮静でも発作が続く場合には超難治性てんかん重積(SRSE:super-refractory SE)と呼ばれる.

ペランパネルはAMPA受容体拮抗作用のあるAEDであり,ラットの誘発性SEにおいて用量依存的にSEを停止させる効果が確認されている.ペランパネルのSERSEにおける有効性は症例報告や小規模case seriesでの既報告にとどまる.本研究は比較的大規模な患者数でRSESRSEにおけるペランパネルの有効性と安全性の検討し,loading doseについても検討した.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
Subjects and study design

20161月~20196月の3.5年間で台湾のChang Gung病院のICUで治療された81人のRSESRSE患者の臨床情報を後ろ向きコホートで分析した.RSEは「First lineSecond lineの薬剤投薬後も発作が持続している症例」と定義した.SRSEは「全身麻酔開始後24時間以上発作が持続し,麻酔の減量または中止で再発する症例」と定義した.
 

Result

33.3%(27)PER投与後に中央値40時間でSEが止痙した.NCSEではPERへの反応性は47.1%(8/17)であり,運動発作群と比し反応性良好だった.てんかんの病因として急性症候性発作群が遅発性発作,特発性発作,進行型群と比しPERへの反応が良好だった.さらに,脳腫瘍群,低酸素脳症,中枢感染症,脳血管障害によるSEが外傷後SEと比しPERへの反応性が良好な傾向にあった.レスポンダー,ノンレスポンダー間で性別,年齢,てんかんの既往,初回PER投与までの時間,静脈麻酔やレスピレーターの使用について有意差はなかった.

PERの初回投与量中央値4mgで,維持量中央値12mgだった.最大投与量は中央値12mgだった.多変量ロジスティック回帰分析では,PERの初回投与量とPERへの反応性は正の相関があり,一方でPERの最大投与量とPERへの反応性は負の相関があった.

初回にPER 16mg以上の高用量を投与されたのは12例で中央値32mgが初回投与された.このうち25%である3例で治療効果がみられた.レスポンダー群ではSE発症からPER初回投与までの時間がノンレスポンダー群より短くベースラインからのmRSの変化はレスポンダー群のほうが小さかった.またPERの忍容性は高用量群でも良好であり,呼吸循環系ならびに肝機能,腎機能,血球減少などはみられなかった.

 

Discussion

本研究での主要な知見はペランパネルの初期投与量と治療反応性が正の相関を示し,一方でペランパネルの最大投与量が負の相関を示したことである.昏睡を伴わないNCSEでペランパネルが奏功することも判明した.ペランパネルの標準量投与群ならびに高用量投与群で副作用に差はなく,忍容性良好であった.
RSESRSE治療にペランパネルが有効であると考えられる.

 ペランパネルはSEの治療薬としてまだ認可されていないが,第一選択薬が無効の場合には同薬を使用することは妥当と考えられる.コントロールとの比較データはないが,ペランパネルはSERSE, SRSEの神経救急において安全かつ効果的に使用可能な薬剤であるといえる.