2023-6-14 リフェラート

 

Nutritional Biomarkers and Heart Rate Variability in Patients with Subacute Stroke

Park EJ, et al. Nutrients. 2022 Dec.

 

Introduction)

       脳卒中患者において栄養状態不良は予後不良(転帰の悪化、入院期間の延長、死亡リスクの上昇)に関連している。

       心拍変動(HRV)は心疾患患者の予後のみならず、脳卒中の発症や予後に関するバイオマーカーになり得るとする報告がある。

       本研究では脳卒中患者におけるHRVと栄養バイオマーカーとの関連について検討した。

 

Materials and Methods)

       20109月~20224月までにキョンヒ大学病院(韓国)に入院した脳卒中患者をレトロスペクティブに検討した。

       栄養バイオマーカーとしてはアルブミン、プレアルブミン、トランスフェリン

       24時間ホルター心電図によるHRV解析を行った。

       栄養バイオマーカーの数値により栄養欠乏群と非欠乏群の2群に分けた。

(カットオフ値はそれぞれアルブミン≦3.5 g/dl、プレアルブミン≦20 mg/dl、トランスフェリン≦200 mg/dl)

 

Results)

合計426名の患者を対象とし、平均年齢:67.03歳、男性 197名、女性229名であった。

脳梗塞患者は278名、脳出血患者は148名であった。

 

アルブミン、プレアルブミン、トランスフェリンをカットオフ値で2群に分けて解析した。

いすれも栄養バイオマーカーが低下している群でHRVパラメーターの低下を認めた。

また各パラメーターと栄養バイオマーカーの間には有意な相関関係を認めた。

Discussion)

本研究は脳卒中患者における栄養バイオマーカーとHRVの相関関係を初めて報告しており、低栄養の脳卒中患者はHRVが低下していた。

⇒栄養バイオマーカーが脳卒中患者の自律神経障害を予測する上で重要である。

 

脳卒中急性期の患者では中枢自律神経線維網(central autonomic network; CAN)の障害により様々な自律神経障害(血圧や心拍数の異常、不整脈、体温調節の異常、胃腸機能障害、排尿障害、性機能障害など)が起こる。

HRV測定は定量的に自律神経障害を評価することが出来るため有用である。

 

Conclusion)

栄養のバイオマーカーがHRVにて測定された自律神経障害と相関関係を認めた。

栄養状態の悪化が脳卒中の転帰に関与しているメカニズムとして自律神経障害が関与している可能性がある。