Association Between Clinical Factors and
Result of Immune Checkpoint Inhibitor Related Myasthenia Gravis: A Single
Center Experience and Systematic Review
Shi, Jiayu, et al. Frontiers in
Neurology 13 (2022).
【Introduction】
免疫チェック阻害剤(ICI)は様々な進行がんに対する有効な治療法だが、様々な免疫関連有害事象(irAE)を引き起こす可能性がある。そのうち、ICI関連の神経系有害事象は比較的稀だが、罹患率や死亡率の上昇と関連することが示されている。
ICI関連重症筋無力症(irMG)の発症率は0.1-0.2%と、発症率が低く報告も限られている。そのため、本研究ではirMG患者63名の臨床的特徴を説明し、irMGの予後予測に有用と思われる因子を特定することを目的とした。
【Discussion】
irMGは、idioMGと比較していくつかの異なる臨床的特徴を有する。
・年齢 irMG
> idioMG
irMGの診断時年齢はidioMGより優位に高かった。
・臨床的重症度 初診時 irMG
> idioMG
idioMG患者はゆっくりとした臨床的悪化経過をたどる
(大部分は診断時にMGFAクラスIおよびIIに分類される)
irMG患者は初診時にMGFAクラスIIIおよびIVに分類され、高いQMGSを示す。
・抗AChR抗体 陽性率 idioMG >
irMG
idioMG群での陽性率は70-80%程度と報告されているが、irMG群の陽性率は50%程度だった。
・抗MuSK抗体 陽性率 idioMG >
irMG
idioMG患者の陽性率は5-10%程度に対し、irMG群の陽性率は1.6%であった。
・筋炎 irMG >
idioMG
本研究のirMG群では62%に認められたが、idioMG群ではわずか0.9%にしか認められていない。
・心筋炎 irMG
> idioMG
irMG群では40%程度認めたが、idioMG群では認められなかった。
<irMGの転帰>
• irMGでもidioMGと同様に、初診時にMGFA分類、QMGSが高いことが予後不良を呈している。
→irMGにおいてもこれらの指標活用が有効なことを支持!
• 筋炎や心筋炎は予後不良因子である。
MGによる筋力低下に加え、筋炎に伴い筋力低下が促進される
→本研究では筋炎と予後に関連を認めなかったが、解析ではCK>5000U/Lは予後不良因子であった。
⇒筋病変の早期発見を意識することが重要!
【Conclusion】
ICIの普及と本疾患の認知度の向上により、irMGの患者数は急速に増加するものと思われる。今後、irMGに関する治療研究をさらに進め、irAE関連死亡率を低下させ、免疫療法の安全性を高めることが必要である。